地盤調査(ボーリング調査)を行う意味、重要性を説明します
8月に事務所建設地の地盤調査を行いましたので、その様子を書きたいと思います。一般的に地盤調査といえばスウェーデン式サウンディング試験が有名です。
スウェーデン式と比較して高価ですが今回の敷地の周辺地盤を考慮して、ボーリング調査とオートマチックミニラムサウンド貫入試験のセットで行いました。
地盤調査を行う意味
新築工事の諸費用に入る調査&工事というのが一般的な認識だと思います。
本来の意味は2つあります。
①合理的かつ安全な建物の設計・施工を行うための基礎資料を得る②まもりすまい保険に加入するため
「1」については建物の基礎をつくるとき(べた基礎など)の仕様をどうするか調査結果から判断します。その結果土を入れ替えたり杭を打ったりします。
「2」については地盤保証といって、地盤が原因の不具合(建物が傾くなど)が入居後に発生した時に修繕の費用が支払われます。
どちらも重要ですので、地盤調査はほぼすべての建設工事で行われています。
調査場所について
今回の計画では、2階がない平屋部分と2階がある場所があります。(総2階であればすべてに2階があります)
2階がある場所の方が重量が重くなりますから、地面に対しての負荷も大きくなります。
そういった建物の構造的なことも踏まえて地盤調査会社と相談を行います。
その結果、 ボーリング調査1か所 & オートマチックミニラムサウンド貫入試験(ミニラム)6か所 を行うことになりました。
「B-1」がボーリング調査箇所です。2階立て部分でかつ荷重がもっとも掛かる場所を調査します。
「S-1〜S-5」がオートマチックミニラムサウンド貫入試験になります。
「B-1」ボーリング調査との比較で、すぐそばでオートマチックミニラムサウンド貫入試験を行います。(S-1)
「S-2〜S-5」は建物の角になります。
角を試験する理由は、できるだけ広い範囲のデータをとって比較したほうがその敷地の特性をつかみやすいためです。
調査箇所にはあらかじめロープを貼って試験当日にわかるようにしておきます。
地盤調査は設計前でも行えますが、このように実際に建てる建物の形状に沿って調査を行う方がデータをそのまま活かすことができます。
ボーリング調査
上図の「B-1」の箇所のボーリング調査の全景です。ボーリング調査はスウェーデン式サウンディング試験よりもコストが掛かります。戸建住宅ではボーリング調査まで行わない場合も多いですが、今回はボーリング調査を行いました。
この調査では下記について調べることができます。
●標準貫入試験
●土質サンプルの採取
●地下水位の調査
標準貫入試験は上から打撃を加えて、沈む深さで地盤を調査します。与える打撃は同じですから
●少ししか沈まない → 地盤が強い
●多く沈む → 地盤が弱い
ということになります。
ボーリング調査はその名のとおり深い場所まで「ボーリング」していきます。5mの深さまで穴を掘りながら調査しました。
深さ1mごとに実際の土を採取します。
わかりにくいですが、真ん中がボーリング箇所です。
下まで掘っている様子がわかりますでしょうか?
上の方はこのようになっています。
標準貫入試験の様子です。上部のこげ茶色のおもりを定められた方法で落下させ、青色の部分を叩き沈下の様子を記録します。
オートマチックミニラムサウンド貫入試験
この調査ではボーリング調査の際に行う標準貫入試験よりも、一回り小さい力で打撃を加えて調査します。
スウェーデン式に比べてパワーがあるので、固い砂礫層も貫通でき杭基礎で必要な支持力が大きな地盤の調査もできます。
一般的なスウェーデン式を行うかどうか検討しましたが、スウェーデン式では杭の支持層の評価が難しいことから、地盤調査会社のアドバイスもあり、オートマチックミニラムサウンド貫入試験を行うことになりました。
実際に調査してる様子です。(音が出ます。画質は落としてあります)
報告書(まとめ)
調査後報告書が届きました、実際の地盤がどうなっているかを知ることができました。
調査報告書の内容も充実しており、基礎の設計に役立てることができます。
ボーリング調査の箇所「B-1」の地質サンプルも提出していただきました。実際に見ることで地質を確認することができます。
このデータをもとに構造設計事務所と相談の上、基礎をどうするか検討を始めます。
結果は場所によって変化はあるものの、当初予想していた結果に近いものであったことがわかりました。
中村まり子
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